哈爾濱漢方薬局

よくある質問と答え(FAQ)

1.漢方薬の種類はどんなものがありますか?また、服用はどのようにするのですか?

漢方薬には煎じ薬、エキス剤、散剤、丸剤、軟膏などの種類があります。基本的なものは煎じ薬ですが、材料が生薬であるということは共通です。
生薬とは、主に治療の目的で用いられる天然物そのものかあるいは簡単な加工を加えたもので、種々の科学的操作を加えない草根木皮、動物由来のもの、鉱物などを言いますが、一番多いのは乾燥させた植物で、全草を用いるものや根、茎、皮、葉などが用いられます。例えば、葛根かっこん牡丹皮ぼたんぴなど。
煎じ薬とは、土瓶などに1日分の生薬と決まった量の水を入れて加熱し、生薬の成分を抽出するように煎じて飲む湯剤です。漢方薬の処方名に「・・・・湯」が多いのは、もともと漢方薬は、大部分のものが煎じて飲むものであることからです。例えば、葛根湯、補中益気湯など。
そして煎じあがった湯薬を1日に2〜3回に分けて食前30分〜1時間又は食間に服用します。
エキス剤とは、生薬の煎じ液から有効成分(エキス)を取り出し、水分を蒸発させて、安定性を保つためにべつに粉末(賦形薬)を加えて製剤化したものです。一般的にいう「エキス剤」は、顆粒や細粒状のものを指します。コーヒーに例えると、エキス剤はインスタントコーヒーの粉末のようなものです。例えば、葛根湯エキス顆(細)粒、補中益気湯エキス顆(細)粒など1日分の量を2〜3回に分けて食前又は食間に水又は温水で服用します。お湯で溶いて服用したほうが漢方薬元来の形に近く吸収しやすくなります。
散剤とは、生薬を粉末にして混合したものです。例えば、安中散、当帰芍薬散など。
1日分の量を2〜3回に分けて食前又は食間に水または温水で服用します。
丸剤とは、生薬を粉末にしたものに「ハチミツ」などを加えて、丸く固めたものです。例えば、八味地黄丸、麻子仁丸など。
1日分の量を2〜3回に分けて食前又は食間に水又は温水で服用します。
軟膏とは、ゴマ油やミツロウ等の基材と生薬を混ぜて作ったものです。例えば、太乙膏、紫雲膏など。
患部を清潔にしたのち、1日数回適量を直接患部に塗布するか、ガーゼに塗布し患部に貼り付けます。

2.漢方薬は保険が利きますか? 保険外ではどの位の費用がかかりますか?

院外処方箋を扱う漢方薬局(保険薬局)に、医師の処方箋を持参されれば保険が適用されますが、薬局で相談して薬をもらう場合は、自費になります。
当薬局は保険薬局ですが、自費の場合、使う生薬によって違いますが、煎じ薬で1日分が525〜735円(税込)位です。

3.漢方薬の効果が出るには、どの位の期間がかかりますか?

「漢方薬は自然治癒力を高め、体の機能のバランスを正常化させる」というのが基本ですので、効果が出てくるまでの時間は、その人の体質、病気の種類および程度によって異なります。薬に対する反応にも個人差がありますので、一概にこれ位の期間とは言えません。ただ1服で効果が出る場合もありますし、数ヶ月〜数年の時間が必要な場合もあります。
一般的には、体力があり病気を治す働きが強い場合は効果が早く、体力が衰えている場合では時間がかかるといわれています。

4.煎じ薬はどのように煎じるのですか?また、どのように服用するのでしょうか?

一般的な煎じ方としては、1日分の薬を土瓶又はやかん(鉄・銅製は避ける)などに入れ、水を二合半位(約450ml)加え、蓋をして火にかけます。沸騰する直前で、弱火(とろ火)にし、30分間煎じ詰めた後、熱いうちにカスを捨て濾して、出来上がった湯液が1日分の薬です。この薬を、2〜3回に分けて食前30分〜1時間又は食間に温かいうちに(人肌程度 )飲みます。
残った薬液は冷蔵庫で保存し、次回に飲む前に、温めて(電子レンジでも可)飲みます。変質を避けるため保温ポットなどでの保存や、2日分以上の作り置きはしないでください。

5.煎じ薬を煎じてもらえると聞きましたが、・・・

お客様からご要望があった場合、お客様に代わって当薬局で煎じて、1回分ずつのアルミパック密封包装をお作りいたします。
「漢方薬抽出自動包装機」により、パック包装した煎じ液は、常温で約2ヶ月保存できますので、携帯に便利で、旅行にもご持参いただけます。いわゆるレトルトパックですので何時でも簡単に服用できます。煎じる手間や匂いがなくなるので、お忙しい方や火周りが不安な方、ご家族やご近所への匂いが気になる方におすすめします。水分が多くなるため味もマイルドになり服用し易いと好評です。通常、1日2パックを朝・夕の食前にそれぞれ1パックずつ服用します。

6.漢方薬の服用時間はどうして食前又は食間なのですか?また、食後に服用してはいけませんか?

「食前」とは、胃の中に食物が入っていない状態で、食事の30分〜1時間位前です。
「食間」とは、食事中のことではなく、食事と次の食事の中間という意味で、食後2〜3時間の胃の中が空になっている状態を指します。
「食後」とは、胃の中に食物が入っている状態で、食後30分位までを指します。
漢方薬を食前又は食間に服用するのは、胃の中が空になっている時のほうが薬効成分の吸収がよいからです。食後に服用すると、薬が食物や飲み物と混ざり、薬効に影響することがあります。しかし、必ずしも漢方薬全部が食前、食間に服用するとは限らず、状況によっては食後服用の場合もあります。

7.顆粒や錠剤などの漢方薬を水以外の飲みもので服用しても良いですか?

漢方薬に限らず薬を飲む場合は、原則として水又はお湯で服用します。他の飲み物で服用した場合、薬の吸収を阻害したり、薬の成分変化に影響をしたりすることがありますので、水又はお湯以外のものでの服用は避けて下さい。
特にお茶やコーヒー及びお酒は、薬効に影響を及ぼしやすいので、ご注意ください。

8.煎じ薬とエキス剤とでは、どちらがよいのですか?

煎じ薬とエキス剤の長所と短所を比較してみました。

  煎じ薬 エキス剤
長所 体質や症状に合わせて、生薬の種類や量を増減し、一番体に合う薬を処方することが可能。匂いの効果も期待できる。 服薬が簡単。
携帯が便利。
品質が一定。
短所 煎じる手間と時間がかかる。
長期間放置すると品質が落ちる。
(アルミパック密封包装した煎じ薬を除く)
効力は煎じ薬より落ちる。
薬の内容と配合割合を増減できない。
煎じ薬のような匂いの効果が期待できない。
配合生薬の重複を調節できない。

それぞれに優れた点があり、一概に、どちらが良いと言うことはできませんが、元々漢方薬の大部分のものは煎じて飲むように作られており、漢方薬の原点に戻ってみれば当然、煎じ薬の方に分があり、また、処方の加減をし易いという点でも、可能であれば煎じ薬を服用されることをお薦めします。

9.『証』という言葉をよく聞きますが、どういう意味ですか?

「証」とは、漢方独特の用語で、「体調及び病態を現す症候群のまとまり」のことで、自覚症状や他覚症状、体力、体質などを集約して整理した漢方的診断です。「証」を決めるにあたり、八綱(陰、陽、虚、実、表、裏、寒、熱)、気・血・水及び五臓六腑理論というものが基準となり、「証」が決まれば、処方も決まります。
例えば、元気がない、疲れ易い、全身の無力感、食欲不振、顔色が白いなどの症状がある場合、「脾胃気虚」と「証」を見極め、この「証」にあう漢方薬――「四君子湯」を処方します。

10.漢方薬の作用の特徴は?
  1. 平常の用量の漢方薬を投与した時、体が恒常性(ホメオスターシス)を保っている状態では著明な薬理作用を示さない。ところが、恒常性が種々の原因で乱れた状態、つまりバランスが悪くなった場合には、その恒常性を正常化させる方向で作用を示す。
  2. 漢方薬の作用は緩和で、体に本来備わっている自然治癒力を活性化する方向で作用します。遺伝的にプログラムされた病態に対しては、漢方薬に著効を期待することは難しいですが、本来あるべき状態から逸脱した病態の正常化は漢方薬の得意とするところであります。
11.漢方薬は本当に副作用がないのですか?

漢方薬は、天然の生薬で、一般的に効き目がおだやかなものが多いので、副作用はないと考えがちですが、薬である以上、副作用の可能性は否めません。
しかし、副作用が出ないような工夫しているのが、漢方薬の独特の使い方で、各個人の体質・病態に基づいて、漢方的な独自の診断により「証」を見極めて、処方を選ぶので、副作用が起こりにくいのです。
また、生薬(薬草)単品ではなく何種類もの生薬を組み合わせて『処方』という形にするのは、組み合わせることでお互いの作用を増強したり、副作用を減弱できるからです。
一方、「証」を無視し、使い方を間違えたために生じた様々な不快な症状は、副作用と言うより誤診誤用と言えるかもしれません。
副作用は、薬を正しく服用していても起こることがありますから、もし薬を飲んだ後、病状が悪化したり、何らかの変わった症状が現れたりしたら、服用を中止し、すぐに漢方専門の医師や薬剤師に相談してください。

12.西洋薬や他の漢方薬を併用してもいいですか?

漢方薬は対症療法というより、「自身の自然治癒力を高める」ことが基本であり、治療理論や成分が異なりますので、最近では、西洋薬と併用して処方されることも多くなりました。併用することによってお互いの長所を生かし、短所を補って,より効果的な治療が期待される場合が少なくありません。
但し、小柴胡湯とインターフェロン製剤との併用のように併用が禁じられている場合もあります。
複数の漢方薬を同時に服用する場合は,相互作用によって薬効が増強したり、逆に減弱するなど,漢方理論によって相対的に考えて使用する必要があります。
また、漢方薬の服用により、病院の薬を急に止めてしまう人がいますが、薬によっては重篤な状況を引き起こしかねない危険な行為ですので、自己判断による服薬中止は絶対に止めてください。
以上のことより、漢方薬を服用するときには、現在服用している薬や薬の説明書などを持参の上、医師や薬剤師によくご相談なさってださい。

13.漢方薬はどんな病気に効きますか?

漢方医学では、全ての病気は体の歪み(陰陽のアンバランス)が起こした結果と考え、独自の医学理論に基づいてその人個人の病態素因や症状を重視して処方を決めます。病名は参考にはしますが、病名に依って薬を決めるわけではありません。身体に備わっている自然治癒力を高めてアンバランスをバランスへ整えます。
ですから、漢方薬は、「緊急処置・手術の必要度が高い病気」を除いた全ての病気に対応できるといえます。
特に下記のような病気によく使われます。

  • 虚弱体質
  • アレルギー性の疾病(鼻炎、喘息、アトピーなど)
  • 神経症、不定愁訴(自律神経失調症、更年期障害など)
  • 検査で異常はないのに自覚症状のある場合
  • 西洋薬で効果の乏しい場合或いは副作用が強い場合
特に西洋医学では適当な薬がなく、「経過観察をしましょう」と言われて、薬がない場合でも、漢方では大抵の場合、体調や症状に適合する薬があります。

14.自分の薬を家族(あるいは他人)に飲ませてもよいですか?

家族或いは他人に自分と似ている症状がある場合、自分に良く効いたからと、同じ薬を飲ませるのは、慎重にしなければなりません。
症状が似ていても「証」が異なる、つまり体質や病態の実質が異なる場合では、自分にはよく効いた薬でも、効果がなくなったり、逆に症状が悪化する可能性もあります。
必ず医師や薬剤師に相談して、その人に合う処方を選んでもらうことをお薦めします。

15.漢方薬は小児でも服用できますか?

漢方薬は、一般的には3歳以上でしたら服用できます。服用の薬量は年齢と体調にあわせて減量します。顆粒状の薬は、お湯で溶いて飲ませてください。錠剤は慎重にしなければなりません。
どうしても飲みにくい場合は水飴をからませて服用させてもいいです。服用後は水で口をすすいであげるなどしてください。

16.妊娠中、授乳中に漢方薬を服用しても大丈夫ですか?

妊娠中の女性の身体は、胎児形成、成長の環境を作るために、さまざまな変化をしているので、普段の状態とは異なり、薬が母体や胎児へどのように影響するのか判断が難しく、服薬は慎重にする必要があります。
妊娠中に避けるべき生薬としては、大黄、芒硝、紅花、桃仁、牡丹皮、牛膝、附子など、流早産などの危険性のあるものが挙げられます。
また、授乳中では、大黄の成分が乳汁中に移行し、赤ちゃんに下痢を起こさせる可能性があります。
一方、漢方薬の服用で、流早産の危機の回避や、つわりを軽減したり、風邪などの一時的な疾病で、西洋薬を使えない時或いは使いたくない時などにも対応できる場合が少なくありません。
ですから、妊娠中、授乳中の服薬は必ず医師や薬剤師に相談してください。

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