秋の公募展にむけて

藤嶋 俊曾氏
(美術評論家)

 絵画の可能性は、もはやないといわれて久しい。しかし、つくる側からの意欲的な取り組み、見る側の新しい発見があるものである。
 今年4月、故郷の加茂市で個展を開催した橋本龍美は、今年の創画展に四曲半双の屏風「メッチャカおんど」を出品した。
 七福神も、天狗も鬼も河童も、やおよろずの神も、この世のあらゆる化け物が出そろっての浮かれ騒ぎ。写真を超えて装飾的なのは、型の中に人間の感情を盛り込む伝統に従うから。さらには、故郷の祭りのにぎわいも交じって、懐かしい。

「新潟日報」平成14年10月24日掲載

 

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